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2021年 iFixitが行なった分解で最も興味深い発見

執筆者: Michael Degnan @michaeldegnan

  • December 27, 2021
  • 保存先: E-waste(電子産業廃棄物), iFixit, ビデオ, 分解, テクノロジーが動く仕組み
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注:以下の文章は、iFixitのYouTubeビデオ「 iFixit’s Most Interesting Teardown Finds of 2021」の台本に基づくものです。以下のテキストは公開されたビデオの台詞と完全に一致しない場合があります。

私たちは今年も、数多くのデバイスを分解し、普段は外観でしか見ることのない私たちの目に隠された、斬新でクールな内部を沢山発見しました。このブログでは、iFixitが2021年に発見した最も興味深い分解をご紹介します。

1) SamsungがZ Flip 3モデルの防水仕様を完成させるまでの道のり

まず、あなたなら折りたたみ式のデバイスにどうやって防水性能をもたせますか?

初めてSamsungのZ-Flipを分解した時、科学的とは程遠い蛍光パウダーの実験にさらされて、この初代モデルは失敗しました…見事に。

今年、Samsungはこの新モデルの防塵性能について言及しませんでしたが、これまでにIPX8等級の防水防塵性能を備えた折りたたみ式スマートフォンを2台も発売してきました。Samsungはこの新モデルにも防水性能をどう維持したのか知りたくて、分解モードに変えて内側を覗いてみました。そこで、iFixitオフィスの水槽に長時間浸してみた後、このデバイスの内側を開いてみることにしました。

私たちが他のデバイスの分解で発見したもの同様の防水方法を、Samsungも採用しています。接着剤をデバイス前面と背面両側に使用する利点は、液体侵入からデバイスを保護できます。一方で、修理を目的にこのデバイスを開くことが困難になります。

スマートフォンのパーツが液体などの外的要因にさらされてしまうことを考慮して、Samsungは内部をドライの状態に保つために素晴らしいエンジニアリングを施しました。完全防水に固執するよりも、ディスプレイの下に液体を侵入させながら、その下側に搭載された通信ケーブルを保護するために、”正確な位置”に埋め込まれた特殊な硬化ガスケットを使用して完全防水性能を実現しました。このガスケットは空気に触れると硬化を始め、基板やチップを液体から保護します。

修理の観点からすれば、このデバイスは厄介なほど複雑な構造ですが、それでも折りたたみ式スマートフォンに耐久性を持たせるための素晴らしい解決策です。

2) MacBookモデルのバッテリーに付いた便利なプルタブ? こんなコロナの経済状況下で?

次に紹介するのは、実に久しぶりに登場した(ある程度)修理可能なMacBook Proです……。

バッテリー交換が簡単なMacBook Proの登場から約10年経ちましたが、ありがたいことに、入手したばかりの新M1 MacBook Proにも、同じデザインが導入されています。

粘着性たっぷりで作業が面倒なバッテリーの取り外しを何年も続けてきた後、このホリデーシーズンにAppleは最高の贈り物をしてくれました。それは、ストレッチリリースタイプの接着ストリップです!2021年モデルのM1 MacBook Proには、バッテリーの取り外しが楽になる接着ストリップが付いているため、このストリップを使えば、作業が早く簡単に進みます。ただし、どこに付いているか知っていればの話ですが。

2021 M1 MacBook Proは、今年最もリペアビリティスコアが改善された製品として私たちから表彰されるかもしれません。しかし最も修理しやすい製品ではありません。一般ユーザー達の手を遠ざける特殊ネジが大量に使用されており、半田付けされたストレージとメモリのために耐用年数が制限されます。

3) Liquid Retinaとゼリースクロール

新しく魅力的なディスプレイテクノロジーを探していた方には、12インチのM1 iPad Proはお勧めです。

今年の12インチiPad Proは、高速のM1 システムオンチップ(SoC)だけでなく、1万個以上のミニLEDを敷き詰めた新Liquid Retina XDRディスプレイを搭載しています。

そこでディスプレイをガラス、フィルター、そしてバックライトの各レイヤーに分解して、新ミニLEDテクノロジーの仕組みに迫ってみました。

Liquid Retina XDRとは、一般的なディスプレイのバックライトを、スクリーンの真下に巨大な格子状の極小LEDを配列させ、個別に制御できるように改良したものです。

このテクノロジーによってスクリーンの彩度が向上するだけでなく、注目すべきことは、スクリーンの黒い部分に配置されたLEDライトを効果的に「オフ」にすることができるため、色彩コントラストが大幅に向上します。

このスクリーンは見た目だけでなく、その内部も素晴らしいものが沢山あります!

ちなみに、新発売されたiPad Proの小型モデル iPad miniにも興味深い発見がありました。しかし決してポジティブなものばかりではありませんでした。その一つに「ジェリースクロール」というディスプレイ上の現象により、期待が高かったこのデバイスは多くのファンをがっかりさせてしまいました。

実はこのジェリースクロール現象は、どんな液晶ディスプレイでも起こりうるもので、iPad miniはジェリースクロールを容易に発見できる要因が見事に重なっています。詳しい解説は上の分解ビデオをご覧ください。

4) 興味深いデザイン、発売が遅延したApple Watch Series 7

次に、最も面白かった分解の一つとして、発売が遅延されたApple Watchの内部を探ったことです。

新iPhone 13の発売から約1ヶ月間、Apple Watch Series 7の発売日は異例にも公表されなかったため、その理由を見つける必要がありました!

この1年を通して耳にしてきた多くのリーク情報とは逆に、デザイン変更はわずかでありながら、なぜ発売が後回しにされたのか気になりました。その原因を知るために、元Appleエンジニアで現在はサプライチェーン問題の専門家であるInstrumental社のTobias氏をこの分解に招待しました。

Tobiasと一緒に新モデルを分解してみると、発売が遅れてしまった主な原因として、若干大きくなった新しいディスプレイにあることが分かりました。Tobiasは次のように述べました。

通常のディスプレイ背面には、上部周辺に折り曲げられて配置されたタッチセンサーのフレックスケーブルと、下部周辺に有機ELディスプレイが搭載されているために、ディスプレイのサイズが制限されます。しかし、この新モデルでは上部のタッチ信号が下部に搭載されたフレックスケーブルに統合され、その上にプラスチックフレームを組み込んで補強しているようです。つまり、ボーダーデザインの限界に挑戦した、この新しいテクノロジーの導入が出荷の遅れの原因になってしまったと考えられます。

ディスプレイのサイズを大きくするといった僅かな変更が、生産上大きな問題を引き起こすことがあるのです。と同時に、デバイスがいかに複雑であるかを改めて思い知らされました。

5) Fairphone 4の進化とリペアビリティ両面を考察

多くのスマートフォンメーカーが防水性能と組み立てやすさを重視して接着剤に頼る中、修理とを念頭に置いて設計されたFairphoneは現代のスマートフォンのあるべき姿を映し出してくれ、いつも感心させられます。

今年の分解ハイライトの一つは、新モデルのFairphone 4です。5年間の修理用パーツ提供やサポートを約束するメーカーが開発した、リペアビリティ優先の新モデルを見れるのは楽しみで仕方ありません。

このFairphoneの開口は非常に簡単で、交換が容易なバッテリーとスクリーンを搭載しています。そして簡単に交換できるパーツで完全モジュール化された内部設計です。これらパーツの全てが、iPhoneのものと変わらない大きさのフォームファクターで構成されています。

ボーナスラウンド!

最後に、メインデバイスの分解ではありませんが、PS5のDualSenseコントローラーを分解して、他ブランドのジョイスティックも同様に発生しているドリフト問題ージョイスティックが勝手に動く現象、の原因を解明しました。

多くのゲーム機メーカーが、類似したジョイスティックモジュールをコントローラに採用しています。ポテンショメーターは各軸の位置を電気回路で測定して、ジョイスティックの位置を把握するものです。どのジョイスティックモジュールも似通ったデザインです。

しかし、これらの電気回路は機械パーツのため、互いに擦れ合い、長期的な磨耗を経ると、ドリフトなどの不具合が発生します。

以上です!今年見たかった新ガジェットの分解はここにありましたか?他にも見たかったガジェットがありましたら、下のコメント欄でお知らせください。

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